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婚姻費用と養育費

 

レーク総合法律事務所では

離婚に関するご依頼を多数受けています。

 

離婚に際して,必ずと言っていいほど問題になるのが婚姻費用と養育費。

簡単に言えば,離婚成立までの生活費が婚姻費用,離婚後の子どもの生活費が養育費というイメージです。

 

いくらもらえるのか,いくら払わないといけないのか。

これは当事者の合意によって定めるのが理想なのですが,無理な場合には

裁判所に決めてもらうことになります。

 

裁判所が決める際に参考にする資料が,いわゆる算定表と呼ばれるものです。

これは裁判所のホームページでも公表されている資料です。

https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

当事者双方の年収から,適切な婚姻費用や養育費の金額を導こうとするものです。

 

この算定表,ざっくり言うと

裁判官たちが,いろいろな統計を見て

「税金ってだいたいこんなもんだよね」

「服買ったり,飲みに行ったりはサラリーマンでも必要な支出だよね」

とか考えながら,税込年収のうち,実際に生活に使える収入を決めて

そこに生活費指数という謎の数字をもって計算式を作り

その結果計算されるものを表にしたもの,ということになります。

 

算定表のメリットは

当事者の収入から,ある程度,機械的に金額を出すことができる点です。

 

しかし,デメリットとしては様々な諸事情を無視する点にあり

私は,これが大問題だと思っています。

「本来は個別的要素を考慮して定める」ということになっているはずなのですが

実際にはほとんど考慮されていません。

 

例えば

同じ年収800万円でも

①住宅ローンを毎月15万円返済している人

②毎月5万円返済している人

では実際に生活費に使える費用は全然違いますし

子どもを連れて夫と別居したけれども

①両親が既に亡くなっていて自分で家を借りなければならない妻

②両親が健在で,実家で生活することができる妻

では夫からもらうべき生活費は全然違うはずです。

 

そして,さらに納得がいかない点は

算定表は法律ではないのに,裁判所が当然のようにこの算定表を使用している点です。

実際に,審判においても「算定表によれば〇〇とするのが相当」と言わんばかりの記載がなされます。

 

法律は主権者たる国民が選挙によって選んだ代表者がいろいろと議論の上,多数決によって決めるものです。

だからこそ,法律が国民を規制する正統性が担保されるわけです。

 

算定表は,裁判官たちがいろいろと統計を見ながら

「だいたいこんなもんじゃね?」

と決めているにすぎない表です。

 

先ほど,この算定表のメリットについて

「当事者の収入から,ある程度,機械的に金額を出すことができる点」

だと書きましたが,このメリットを最も享受しているのは裁判官にほかなりません。

 

なので,この算定表がおかしいんだ!と主張して最高裁まで争ったところで

「この算定表おかしいよね」という結論には現実的にはなり得ません。

 

今,養育費の不払いについて,これに対する対策立法が検討されているようです。

確かに,養育費の不払いの問題は解消されるべき問題であることは間違いないのですが

それと同時に,算定表を用いた養育費の決定のあり方も問題とすべきだと思うのです。

 

 

弁護士 横畑俊介

※ 画像は記事とは関係ありません