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求刑を超える

 

大津地裁で求刑を超える判決が出たということがニュースになっていました。

 

報道等によると

大型トラックを運転していた運転手がスマートフォンを操作しながら運転し

そのスマートフォンを落として脇見をしたということで

禁錮2年の求刑のところ,禁錮2年8月の実刑判決だったということです。

 

ところで,そもそも「求刑」って何なのでしょうか。

実は,求刑というのは刑事訴訟法には一切出てこない言葉です。

 

刑事裁判では

検察官は証拠調べが終わった後

「事実及び法律の適用について意見を陳述しなければならない」

とされています。

 

この意見のことを論告といい

一般的には論告の際に,法律の適用についての意見として「求刑」が述べられます。

 

そして,求刑は単なる意見に過ぎないので,裁判所を拘束することはありません。

つまり,求刑を超える判決はあり得るのです。

 

ただ,珍しいことに変わりはないので,ニュースになるわけですが

求刑を超える判決は「弁護人泣かせ」でもあります。

 

まず,被告人自身は,求刑を超えることはないと思っているので

すごいショックを受けますし,弁護人の弁護が悪かったと思われかねないからです。

 

検察官は,刑罰権の行使の前提として,裁判所に刑に関する判断を求めるわけですが

刑の執行(死刑以外)は検察官の権限で

検察官が「懲役〇年でいい」と思っているのに,裁判所が「いや,それじゃダメ」というのは

なんとなく,変な感じがしないでもないです。